こんにちは!
今回は電気工事の中でも規模が大きく、専門的な知識と技術が求められる「自家用電気設備工事」について解説します。
普段、私たちが生活の中で使っている電気は、一般的には「低圧の電気(100V・200V)」であり、コンセントや家庭用電気設備にそのまま利用されています。
一方で、工場や商業施設、病院、オフィスビルといった大規模な建物では、家庭用と同じ電気の供給方法では容量が足りません。そこで必要となるのが 「自家用電気設備」 です。
この記事では、
- 自家用電気設備とは何か
- 引き込み工事の流れと役割
- 工事を行う上で必要な資格や技術
- 今後の需要や将来性
について、専門外の方でも理解できるように分かりやすく紹介していきます。
自家用電気設備とは?
「自家用電気設備」とは、電力会社から高圧(6,600Vなど)で受電し、それを自分の施設内で使えるように変圧・分配するための設備のことです。
例えば、
- 大規模なショッピングモール
- 工場や倉庫
- 大学や病院
- 大型オフィスビル
こうした建物は膨大な電気を必要とするため、家庭のように100Vの配電網から直接受け取ることはできません。そこで 「キュービクル式高圧受電設備(受電盤)」 を設置し、高圧で受け取った電気を低圧に変換して建物全体に供給します。
つまり、自家用電気設備は 建物の心臓部 と言っても過言ではなく、安全で安定した電力供給を実現するために欠かせない存在なのです。
引き込み工事とは?
自家用電気設備の中でも最初のステップが 「引き込み工事」 です。
これは電力会社の配電線から、大規模建物の自家用電気設備へ電気を送り込むための工事を指します。
主な流れ
- 電力会社との打ち合わせ
- 受電する電圧・容量を決定
- 引き込み方法(架空線か地中線か)を確認
- 引き込みルートの確保
- 電柱からキュービクルまでの配線経路を設計
- 周囲の安全や景観への影響も考慮
- ケーブル布設工事
- 架空の場合は電柱から建物まで高圧ケーブルを張る
- 地中配線の場合は掘削し、配管を通してケーブルを敷設
- 受電設備への接続
- キュービクルや高圧盤に正確に接続
- 絶縁や耐圧試験を行い、安全性を確認
この一連の作業によって、初めて建物に高圧の電気が受け入れられる状態になります。
工事に求められる資格と技術
自家用電気設備の引き込み工事は、家庭用電気工事とは大きく異なり、扱う電圧が高く危険度も高いため、厳格な資格と技術が求められます。
必要な資格
- 第一種電気工事士
高圧(600Vを超える電気設備)の工事が可能。大規模設備には必須。 - 電気主任技術者(第三種以上)
自家用電気設備の保安監督業務を担当。工事後の維持管理でも重要。 - 高圧電気取扱特別教育
高圧機器を取り扱う作業員に必須の教育。
求められるスキル
- 高圧ケーブルの接続・端末処理技術
- 絶縁耐力試験や接地工事の知識
- 安全管理能力(感電防止・火災防止対策)
- チームでの作業調整力
特に高圧電気の取り扱いは一歩間違えば重大事故につながるため、正確さと安全意識 が非常に重視されます。
自家用電気設備工事の魅力
では、この工事の「やりがい」や「魅力」とは何でしょうか?
- 社会インフラを支える誇り
商業施設や病院など、人々の生活に直結する建物を支える仕事。完成後に電気が安定して供給される姿を見ると、大きな達成感を得られます。 - 専門性が高く、需要が安定
高圧設備を扱える職人は数が限られており、常に一定の需要があります。経験を積むことで高単価案件にもつながりやすいのが特徴です。 - キャリアの幅が広がる
工事だけでなく、点検・メンテナンスや設計・監理などキャリアの選択肢が多い分野。資格を重ねることで将来的に独立も可能です。
今後の需要と将来性
自家用電気設備工事の需要は今後も拡大すると考えられています。
- 再開発や都市部の再建設
大規模ビル・商業施設の新築や建て替えで需要が発生。 - データセンターの増加
DX化・AI活用の進展でサーバー需要が急増。大規模電力を安定供給するための設備工事は必須。 - 再生可能エネルギーとの接続
太陽光や風力発電を取り入れる施設が増え、それらを高圧受電設備と連携させるケースが拡大。
つまり、電気の安定供給が必要とされ続ける限り、この分野の電気工事は将来性が高いと言えるでしょう。
まとめ
自家用電気設備工事、特に「引き込み工事」は、
- 電力会社から建物へ高圧電気を安全に供給するための重要な工事
- 高度な資格と専門技術が必要
- 社会インフラを支え、将来性も高い分野
という特徴があります。
電気工事職人にとっては 挑戦しがいのある仕事 であり、スキルを磨くことで大きなキャリアアップや収入向上につながる魅力的な領域です。
もし「もっと大規模な現場で経験を積みたい」「高圧設備の知識を深めたい」と考えている方は、自家用電気設備工事に挑戦してみるのもおすすめです。